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三十路の大学院生はっしーの研究日記

三十路の大学院生はっしーの研究日記

放送大学大学院受験記

放送大学大学院 政策経営プログラム 入試受験記 (平成18年度入学)

この入試は、書類選考、ペーパーテスト、面接とハードルが多く、長丁場で、いちいち綿密な準備をしたため、かなり大変であった。
願書を書くにあたっては、先行研究のリサーチと、統計学など研究法の勉強を重点的にやった。先行研究の検索と取り寄せには、国立国会図書館の複写サービスが非常に役立った。また、MBA時代の指導教官に会ってアドバイスをもらった。
筆記試験対策は、選択科目を経営学に絞り、過去問から傾向を分析して、現在開講されている放送授業「経営システム1」「2」のテキストを徹底的に予習したのが功を奏した。
面接対策として、地元の学習センターの客員教授の先生に、「学習相談」制度を利用してアポをとり、研究計画へのコメントをもらった。

今後受験される方へのアドバイス。
1.受験前に科目生として、筆記試験のとき選択する専門科目を履修してしまいましょう。
2.学習センターの「学習相談」を利用して、研究の道の専門家である学者さんに、受験生のうちからなるべく直接指導(出願書類の添削、面接の練習)を仰ぐようにしましょう。


2005年8月22日 願書を提出。

【志望理由書】
私はうつ病の経験者である。順風満帆に○○大学経済学部を卒業し、就職した大企業で、強烈な職務上のストレスを浴び、こころを病んでしまった。退職後、再起を期して××のMBA課程に進学したが、病気が再発して無念にも中退となった。
人と組織の問題に関心の強かった私は、××では▲▲教授の組織行動論ゼミに所属した。そこでいくつか修士論文のテーマを考え、教授にぶつけたところ、「意義深い」として圧倒的に支持を得たのが、職場のメンタルヘルスの問題であった。「こころの病の苦しみを経験した者としての実感を込めて、社会にとって重要で有益な提言ができる。」「自殺を減らして人の命を救うことにすら貢献できるかもしれない。」こう言って、教授は熱心に後押ししてくれた。退学後も、教授からは何らかの形で研究を継続していくよう励まされ、少しずつ先行研究を読む日々が続いている。体調もかなり回復した今こそ、念願の修士論文をまとめ、メンタルヘルスの不全に苦しむ人を少しでも減らすことに寄与したい。
私は現在家業の中小企業の経営を手伝う立場にある。このまま家業に携わり、従業員の心の痛みを理解できる経営者を目指すか、それとも研究者として職場のメンタルヘルスの専門家を目指すか、現時点で将来の道を決めかねている。放送大学で仕事を続けながらどれだけの研究成果をあげられるか、自分を試してみたい。いずれの道に進むにしても、放送大学での研究が意義深い一歩になると確信している。


【研究計画書】
研究題目「中小企業におけるメンタルヘルス推進のための経営施策と地域社会政策の研究」

1.先行研究
企業における心の病が増加している。1) 中小企業では、労働者の5割以上が軽症以上の抑うつ状態であり、1割が自殺念慮を感じた経験をもつとの調査結果2)がある。ストレスを感じている労働者の割合は中小企業でも大企業でも7割超で差はなく3)、従業員1000人以上の大企業では、90%で具体的なメンタルヘルス推進の取り組みがなされている。4)一方、中小企業経営者の約7割がメンタルヘルス対策の必要性を感じながらも、95%の企業で十分な取り組み体制ができていない。その理由として、「相談者・カウンセラーが得られない」「経済的・人的・時間的余裕がない」「プライバシーの確保が困難」などが挙げられている。3)また、中小企業では、長期にわたり少人数で閉じられた人間関係が続くため社内で対人葛藤が特に生じやすいこと、精神主義が根強く社員の健康は軽視されていること、以上が従業員のメンタルヘルスを悪化させていることも報告されている。5)

2.問題意識と研究の目的
先行研究は、従業員のメンタルヘルスを悪化させる中小企業特有の問題の存在を示唆している。日ごろ家業の中小企業経営を手伝い、自身も職務上のストレスからメンタルヘルスの不調を経験した筆者は、この問題の解決策を探ることに意義があると考えた。本研究では、従業員のメンタルヘルスケアを中小企業の経営課題として捉え、経営者たちにとって有効な経営施策を提示したい。また、問題の解決を経営者だけの責任に押し込めず、地域社会全体で援助していくための政策的提言も試みたい。

3.研究方法と計画
文献研究4)6)7)によって、世界各国で効果を挙げているメンタルヘルス推進施策(地域レベルおよび企業レベル)を調べる。また、精神科医、産業医、産業カウンセラー、EAP業者、産業保健推進センターなどの専門家へのインタビューを行い、彼らが考える中小企業向けメンタルヘルス推進施策を聴取する。さらに、地元商工会議所の協力を得て、地域の中小企業経営者への聴き取り調査、および従業員への質問紙調査を行い、(a)経営者は現状の地域および自社のメンタルヘルス推進施策のどこに問題があり、機能していないとすればなぜだと感じているか、(b)従業員は地域や会社にどのようなメンタルヘルス推進政策を望んでいるか、を明らかにする。

4.参考文献
1)社会経済生産性本部〔2004〕「2004年産業人メンタルヘルス白書」 社会経済生産性本部ウェブサイトより
2)山田和子、平野かよ子〔2003〕「中小企業の労働者のメンタルヘルスと自殺念慮」 保健医療科学52(4)
3)池田智子、中田光紀、小堀俊一、北條稔、杉下知子〔2002〕「小規模事業場事業主のメンタルヘルス対策への意識と取り組み」 産業衛生学雑誌 44
4)労務行政研究所〔2005〕「人事担当者のための実践メンタルヘルス・マネジメント」 労政時報別冊
5)Ikeda, T 〔2004〕「The associated factors of depression among workers at small or medium sized enterprises in Japan」 東京大学博士論文
6)ILO〔2000〕「Mental Health in the Workplace」
7)日本労働研究機構〔2001〕「メンタルヘルス対策に関する研究~対策事例・欧米の状況・文献レビュー・調査結果~」 労働政策研究・研修機構ウェブサイトより


【大学学部卒業論文概要】
題目「有料職業紹介事業の規制緩和の影響予測」

少子化で若年労働者の数が減り、日本は長期的には人手不足の状態に陥る。また、経済の高付加価値化、ソフトウェア化で、労働者に求められるスキルも専門的で高度なものとなり、企業にとって即戦力を中途採用することの合理性が高まっている。調査結果では、中途採用の目的は、「退職による欠員を、社内で育成する人材で穴埋めできないから」、「新規事業・新技術への対応」などが多く、特に中小企業では、経営管理能力や専門性の高いホワイトカラーに対する中途採用ニーズが高い。一方大企業では、経験豊かでこれらの専門性を多少なりとも持つと思われる中高年ホワイトカラーの余剰感が強い。また、労働者サイドでも、若年層を中心に転職志向の高まりがみられる。当時職業紹介事業を担っていた公共職安のサービスには、企業にとっての「適材」を理解していないという利用者からの批判が強い。許認可制の緩和と、取扱可能職種のネガティブリスト化を柱とする有料職業紹介事業の規制緩和によって、価格と品質を競い合いながら参入する業者の手で良質の労働移動仲介サービスが提供され、大企業の余剰ホワイトカラーが中小企業に流れ込むプラスの効果が期待される。



2005年10月23日 筆記試験を学習センターで受験。

【英語】 雇用問題についての英文を読み、内容把握の択一式設問に答える。英語得意の自分としては、差がつけられずがっかりする内容。

【小論文】 経営学を選択。あるファンドが、社外取締役の有無でもって企業統治の是非を測ったという事例について、見解を論述。
印刷教材「経営システム2('05)」をよく勉強しておくと書きやすかったのでは。



2005年11月13日 放送大学本部で面接試問。

質問は研究計画に関するもののみ。13分ほどで終了。

まず、「どのような研究を、どのような方法で?」という通り一遍の質問。

続いて、長老の教授よりいきなり威圧的な質問が入り動揺する。でもここで熱意を示さないといけない。

若手助教授より、具体的に研究計画についての質問や提案があった。
たとえば「企業は、従業員の健康管理にどの程度関与すべきだとあなたは考えるか?」「メンタルヘルスの問題は、調査対象企業はデータを出したがらないのでは? 身体的な健康管理もあわせて研究したらよいと思うが。」など。

長老教授より、相変わらず厳しい口調で「職務ストレスで心を病む人っていうのは、何が原因でそうなるんですか?」 対して「上司との人間関係、仕事の量が多すぎる、質が合わないがトップ3です」と答えると、「それはすべて企業の問題に聞こえる、企業倫理の問題だ」とご意見をいただく。



2005年12月17日 合格通知をもらう。


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